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中山 梓介
核データニュース(インターネット), (133), p.88 - 99, 2022/10
第54回(2021年度)日本原子力学会賞論文賞の受賞対象となった論文の内容を紹介した。重陽子加速器を用いた中性子源の利用が様々な分野で提案されているが、その設計研究に適用できるだけの精度良い重陽子核反応データベースは、世界的に見ても整備されていない。この現状を受け、中性子源において重陽子ビーム照射標的の候補となる軽核(Li, Be, C)に対する重陽子核反応データベースJENDL/DEU-2020を開発した。核反応データの評価には、これまでに開発してきた重陽子核反応用計算コードDEURACSにさらに改良を加えたものを使用した。また、データベースの精度検証のため、標的核種や入射重陽子エネルギーを変えた様々な条件において、粒子輸送計算コードを用いたシミュレーションを実施し、実験データとの比較を行った。その結果、JENDL/DEU-2020を用いることで、他の核反応データベースや輸送計算コードに内蔵された核反応モデルを用いた場合よりも、幅広い条件において実験データの予測精度が大幅に向上することが分かった。
中山 梓介; 岩本 修; 渡辺 幸信*; 緒方 一介*
Few-Body Systems, 63(1), p.4_1 - 4_6, 2022/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Multidisciplinary)重陽子加速器を用いた大強度中性子源が理工学分野だけでなく医療応用に対しても提案されている。このような施設の設計には、重陽子入射反応に関する高精度かつ広範な核データが要求される。しかしながら、実験データのみを用いてこの要求を満たすことは困難である。そのため、実験データを内外挿して必要な核データを完備するために、理論計算が重要な役割を果たす。こうした状況の下、我々は重陽子入射反応用の計算コードDEURACSを開発している。本研究では、DEURACSの計算値を様々な実験値と比較することにより本コード内の理論モデルの妥当性を検証するとともに、重陽子入射反応を精度良く予測する上で分解過程の考慮することがいかに重要かを示す。
中山 梓介
JAEA-Conf 2021-001, p.65 - 70, 2022/03
重陽子は陽子と中性子からなる弱束縛系であるため、標的原子核との相互作用を通じて容易に分解し中性子を放出する。この性質を利用して、重陽子加速器を用いた大強度中性子源が理工学や医療分野において提案されている。こうした施設の設計研究には重陽子入射反応に関する高精度かつ広範な核データが必要となる。こうした背景の下、重陽子核データ評価に向け、重陽子の分解過程を考慮した重陽子入射反応用の計算コードDEURACSを開発してきた。DEURACSはこれまでに中性子および質量数4までの軽イオン、ならびに残留核の生成の解析に適用され、成功を収めている。本講演ではこれらの解析結果を示すとともに、重陽子入射反応の精度良い予測のためには分解過程を考慮することがいかに重要であるかを議論する。また、最近、DEURACSを使用してLi, Be, Cに対する入射エネルギー200MeVまでの重陽子核反応データベースJENDL/DEU-2020を開発した。JENDL/DEU-2020の概要を述べるとともに、モンテカルロ計算コードによるシミュレーションを通じて行ったJENDL/DEU-2020の検証結果についても示す。
中山 梓介; 岩本 修; 渡辺 幸信*; 緒方 一介*
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(7), p.805 - 821, 2021/07
被引用回数:20 パーセンタイル:96.99(Nuclear Science & Technology)重陽子加速器を用いた高エネルギー中性子源の利用が様々な応用に対して提案されている。こうした中性子源の設計研究に資するため、Li, Be, Cに対する200MeVまでの重陽子核データライブラリJENDL/DEU-2020を開発した。JENDL/DEU-2020のデータの評価は、計算コードDEURACSを用いて特に中性子生成データに注意を払って行った。また、本評価に利用するに当たり、DEURACSにいくつかの改良を行った。評価データの検証はモンテカルロ輸送計算コードによるシミュレーションを通じて行った。その結果、JENDL/DEU-2020に基づくシミュレーション値は入射エネルギー200MeVまでの範囲で中性子生成に関する実験データを良く再現することが分かった。このことから、本ライブラリは多様な重陽子加速器中性子源の設計研究に大きく貢献すると期待される。
塚田 和明; 永井 泰樹*; 橋本 慎太郎; 湊 太志; 川端 方子*; 初川 雄一*; 橋本 和幸*; 渡辺 智*; 佐伯 秀也*; 本石 章司*
Journal of the Physical Society of Japan, 89(3), p.034201_1 - 034201_7, 2020/03
被引用回数:2 パーセンタイル:22.16(Physics, Multidisciplinary)ポリエチレン遮へい中のZnOに、50MeV重陽子とBeによる()反応で生成した中性子を照射することで、Ga, Ga, Zn、並びにCuの特異な生成を実験的に確認した。特に、ポリエチレン遮へい内で得られた収率は、遮へいなしの実験と比較して、約20倍の収量を示した。一方、鉛遮へい内の金属Zn試料の照射におけるGa, Ga, Zn、並びにCuの収量と、ZnO及び金属Zn試料の照射におけるCu, Ni及びZnの収量は、遮へいによる影響はほとんど受けていない。この実験結果は、遮へい条件を調整することで、中性子反応に限らず陽子反応を含む多様で大量の放射性同位元素を、一度の照射で同時に合成できるという加速器中性子の注目すべき特性を示すものである。また、PHITSコードを利用した生成量予測を試み、本実験結果と比較することで、本生成量の特異性について評価した。
中山 梓介
核データニュース(インターネット), (120), p.19 - 25, 2018/06
高精度の重陽子核データファイルの作成に向け、重陽子入射反応に特化した計算コードDEURACSの開発を行っている。日本原子力学会2018年春の年会での核データ部会・「シグマ」特別専門委員会の合同セッションにおいてDEURACSの現在までの開発状況や今後の展望等について発表したので、その概説を「核データニュース」誌に寄稿した。これまでの研究から、中性子源評価で重要となる軽核に対する反応やトリチウム発生量評価で重要となる反応をDEURACSで精度良く予測できるようになったこと、また、今後の展望として、中重核に対する核種生成断面積についても精度の良い予測ができるようDEURACS内の理論モデルを改良していく予定であること、等を述べた。
塚田 和明; 永井 泰樹*; 橋本 和幸*; 川端 方子*; 湊 太志; 佐伯 秀也*; 本石 章司*; 伊藤 正俊*
Journal of the Physical Society of Japan, 87(4), p.043201_1 - 043201_5, 2018/04
被引用回数:10 パーセンタイル:60.27(Physics, Multidisciplinary)A neutron source from the C(d,n) reaction has a unique capability for producing medical radioisotopes like Mo with a minimum level of radioactive wastes. Precise data on the neutron flux are crucial to determine the best conditions for obtaining the maximum yield of Mo. The measured yield of Mo produced by the Mo(n,2n)Mo reaction from a large sample mass of MoO agrees well with the numerical result estimated by the latest neutron data, which are a factor of 2 larger than the other existing data. This result provides an important conclusion towards the domestic production of Mo; about 50% of the MoO sample mass with a single Mo in Japan would be met using a 100 g MoO sample mass with a single accelerator of 40 MeV, 2 mA deuteron beams.
永井 泰樹*; 塚田 和明
Isotope News, (753), p.28 - 32, 2017/10
Cuは"がん患者に、ただ1種類のCuを用いて診断と治療が行える能力を持つ理想的な医療用RIである"と考えられ、患者の"がん細胞と正常細胞への放射性医薬品の集積量を反映する画像化された診断情報"を基に、同じ放射性医薬品を治療に用いることで、患者に最適の治療が可能にするという、"個別化医療"の実現に向けた重要なRIである。そのため、Cu医薬品の実用化を目指して"高品質のCuを大量に製造する"研究開発が、1970年頃から現在に至るまで世界中で行われてきた。しかし、その製造法は未だ確立せず、Cu医薬品の研究開発が停滞する状況が続いている。われわれは、加速器を利用したCuの我が国独自の新しい製造法を提案してきた。そして、新製造法に基づく実験を行い、"高品質のCuが得られること、そして大量に製造できる可能性を有すること"を明らかにした。更に大腸癌を移植したマウスにこのCuを投与した実験を行い、Cuが腫瘍部に顕著に集積することを発見した。本稿では、Cuの新しい製造法及びその特徴、新製造法で製造されたCuを用いた担癌マウスの研究の現状を紹介する。
渡辺 幸信*; 金 政浩*; 荒木 祥平*; 中山 梓介; 岩本 修
EPJ Web of Conferences, 146, p.03006_1 - 03006_6, 2017/09
被引用回数:2 パーセンタイル:78.04(Nuclear Science & Technology)中性子源の設計のためには、重陽子入射反応に対する広範な核データが必要である。このため、我々はこれまでに、測定・理論モデルコード開発・断面積評価・医療用放射性同位体製造への応用、からなる重陽子核データに関する研究プロジェクトを立ち上げてきた。本プロジェクトの目標は重陽子ビームを用いた加速器中性子源の設計に必要となる200MeVまでの重陽子核データライブラリを開発することである。このプロジェクトの現状について報告する。
須郷 由美*; 橋本 和幸*; 川端 方子*; 佐伯 秀也*; 佐藤 俊一*; 塚田 和明; 永井 泰樹*
Journal of the Physical Society of Japan, 86(2), p.023201_1 - 023201_3, 2017/02
被引用回数:14 パーセンタイル:68.14(Physics, Multidisciplinary)Zn()Cu反応により合成したCuを利用し、結腸直腸の腫瘍を有するマウスにおけるCuClの生体内分布を初めて観測した。その結果、Cuの高い取り込みが、腫瘍ならびに銅代謝のための主要な器官である肝臓と腎臓で観察された。これは腫瘍に対するCuの蓄積を示す結果であり、CuClが癌放射線治療のための潜在的な放射性核種薬剤であることを示唆している。また、現状で入手可能な強い中性子を用いたZn()Cu反応を利用することでもたらされたCuの生成量の増加は、小動物を用いた治療効果について更なる研究の進展もまた約束するものである。
橋本 和幸; 永井 泰樹; 川端 方子; 佐藤 望*; 初川 雄一; 佐伯 秀也; 本石 章司*; 太田 雅之; 今野 力; 落合 謙太郎; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 84(4), p.043202_1 - 043202_4, 2015/04
被引用回数:8 パーセンタイル:53(Physics, Multidisciplinary)The distribution of Tc-radiopharmaceutical in mouse was obtained with SPECT for the first time using Tc, which was separated by thermochromatography from Mo produced via the Mo(n,2n)Mo reaction with accelerator neutrons. The SPECT image was comparable with that obtained from a fission product Mo. Radionuclidic purity and radiochemical purity of the separated Tc and its aluminum concentration met the United States Pharmacopeia regulatory requirements for Tc from the fission product Mo. These results provide important evidence that Tc radiopharmaceutical formulated using the Mo can be a promising substitute for the fission product Mo. A current and forthcoming problem to ensure a reliable and constant supply of Mo in Japan can be partially mitigated.
三枝 純; 吉澤 道夫; 谷村 嘉彦; 吉田 真; 山野 俊也*; 中岡 弘*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 516(1), p.193 - 202, 2004/01
被引用回数:16 パーセンタイル:70(Instruments & Instrumentation)国産レムカウンタ3機種のエネルギーレスポンスを、熱中性子,15.2MeVまでの単色中性子,Cf等のRI中性子線源について、モンテカルロ計算と実測により評価した。レスポンスの方向依存性及び線量当量レスポンスについても評価を行った。計算では、レムカウンタを構成する比例計数管,減速材,吸収材を詳細に模擬することにより、実測によるレスポンスとよく一致する結果が得られた。また、比例計数計数管内のHe充填気圧とエネルギーレスポンスとの関係について考察を行った。広いエネルギー範囲について得られたレスポンスの計算結果を用い、さまざまな中性子作業場においてこれらのレムカウンタを使用した際の、指示値と真の線量当量との差異についても検討を加えた。
山田 安定*; 渡辺 昇*; 新村 信雄*; 森井 幸生; 片野 進; 相澤 一也; 鈴木 淳市; 小泉 智; 長壁 豊隆
JAERI-Review 96-019, 43 Pages, 1997/01
日本原子力研究所では、従来研究用原子炉を中心として研究を行ってきた東海研究所の新しい将来を拓く目的で「中性子科学研究センター構想」を打ち出している。この小冊子は新しい施設での中性子散乱実験により進展すると期待される科学の諸分野をサーベイする作業を行った成果をまとめたものである。
武田 晋作; 塚田 和明; 佐藤 哲也; 浅井 雅人; 永井 泰樹; 阪間 稔*
no journal, ,
核医学用放射性同位体(RI)は、高感度の診断(癌,脳神経疾患,心疾患等)及び治療(主に癌)のために世界中で重用されている。本研究では、治療用RIとして最近利用されてきたYを、加速器で得られる高速中性子(数MeV以上)を用いて効果的に合成することを試みる。特に、本実験では、医療機関にPET等の医療用に導入されてきた小型サイクロトロンなどから得られる15-30MeVの陽子ビームに着目し、効果的に中性子が発生できるとの報告があるベリリウムを標的とし、実際に発生する高速中性子で生成するYの合成試験を行うと共に、同時に生成する副生成物の影響について評価する。
橋本 和幸; 川端 方子; 佐伯 秀也; 塚田 和明; 佐藤 望*; 本石 章司*; 永井 泰樹; 渡辺 智; 石岡 典子
no journal, ,
Cu(半減期62時間)は、がん治療に適した線と画像診断に適した線を同時に放出するため、がん治療用核種として有望視されている。現状では、その製造方法として高エネルギー陽子(50-200MeV)によるZn(p,2p)Cu反応が最適と考えられているが、生成量が限られていることや副生成RIの多さ等の問題から、研究開発も限定的な状況である。そこで、従来法に代わる製造法として、C(d,n)反応による高速中性子を用いてZn(n,x)Cu反応(x=n'p, d)により製造したCuのZnターゲットからの分離・精製及び抗体標識に有用なモデル配位子であるDOTA, TETAへの標識を実施した。キレート樹脂+陰イオン交換樹脂2段カラム分離・精製法を用いてCuを単離した結果、不純物RIは検出されず、放射性核種純度の高いCu溶液が得られた。また、標識実験の結果、Cu-DOTAが99%以上、Cu-TETAが97%以上の収率で合成できた。以上の結果、C(d,n)反応による高速中性子を用いて、放射性核種純度及び化学的純度の高い無担体Cuを製造することに成功した。今後は、大量製造化の検討及び遠隔操作を可能にする装置等の開発を通じて、高純度Cu大量製造法の確立を目指す。
橋本 和幸; 川端 方子*; 佐伯 秀也*; 佐藤 俊一*; 塚田 和明; 渡辺 智; 永井 泰樹
no journal, ,
Cu(半減期61.9時間)は、がん治療に適した線(平均エネルギー141keV)と画像診断に適した線(185keV等)を同時に放出するため、がん治療用核種として有望視され30年余にわたりその有効な生成法開発が模索されている。従来、Cuを製造するには、高エネルギー陽子を用いたZn(p,2p)Cuが最適であると考えられているが、生成量が限られていることや副生成RIの多さ等の問題から、研究開発も限定的な状況である。そこで我々は、従来法に代わる製造法として、加速器からの高速中性子を用いたCu製造法[Zn(n,x)Cu反応(x=n'p, d)]の開発を行っており、ターゲット物質であるZn(5g ZnO)からの基本分離法を確立した。本研究では、実用化を目指す次のステップとして、副生成RIであるNi(半減期2.52h)を新たに分離する高純度化手法及び大量製造化のためのZnO試料増量(基本分離法の5倍以上の試料量)に対応した分離・精製法を検討した。Ni分離手法の開発では、既報の基本分離法において、8M HClの追加使用及び陰イオン交換樹脂カラムのサイズアップを図ることにより、最終Cu溶液中のNi残量は検出限界以下であり、Ni分離手法を確立した。さらに、33g ZnO試料を用いた分離挙動を調べた結果、上記Ni分離を可能にした改良分離法により、CuとZnの分離は良好で、Cu最終溶液中に、Znは検出されず、より高純度のCuを製造する方法を確立した。
川端 方子*; 永井 泰樹; 橋本 和幸; 初川 雄一; 本石 章司*; 佐伯 秀也*; 佐藤 望*; 太田 朗生*; 椎名 孝行*; 河内 幸正*; et al.
no journal, ,
Tcは診断用RIとして広く利用されており、国内では年間約70万件、in vivo投与件数の過半数以上を占めている。原料となる親核種Moは現在海外の原子炉で製造されており、日本は長年海外からからの輸入に依存している。このMo供給が原子炉運転停止などの影響で今後不安定になる恐れがあり、諸外国をはじめ日本でも国内での製造が検討されている。我々は、加速器中性子を利用して、MoからMo(n,2n)Mo反応でMoを生成し、Tcを効率的に熱分離する方法を開発し、実用化を視野に入れた研究を進めてきた。厚さ3mm-18mmの溶融MoO試料を用いて複数回分離試験を実施した結果、連続して高い分離効率(70-95%)を得ることに成功した。また、水蒸気を加えることにより効率が約10%向上することが明らかになった。回収したTcの純度は高く、SPECT画像によるマウス骨分布を調べた結果、市販のTcと差がないことが確認された。今後、本研究で開発した熱分離装置の大型化によって、まず大量生産を目指し、国内での実用化を視野に入れた分離精製装置の開発を発展させたい。
宮下 由香*; 秋山 和彦*; 初川 雄一; 久冨木 志郎*
no journal, ,
金属内包フラーレンの放射薬品への利用を考えるとき、反跳反応を利用した製造法はほかにない高い比放射能試料が得られるので大きな優位性を有し注目される。しかし従来の研究では放射線損傷などのために低い収率に留まっておりその実用には困難であった。本研究では14MeVの加速器中性子核反応によるSr(n,2n)Sr反応を用いてSr内包金属フラーレンの製造に成功した。この方法によって生成されたSr内包金属フラーレンは全Srに対して6.8%という高い生成収率を得ることができた。この値は一般の金属内包フラーレンの回収率が0.1%以下であることを考慮すると大変高い値を示している。
橋本 和幸; 川端 方子*; 佐伯 秀也*; 佐藤 俊一*; 塚田 和明; 初川 雄一; 永井 泰樹; 渡辺 智; 石岡 典子
no journal, ,
Cu(半減期62時間)は、がん治療に適したベータ線(平均エネルギー141keV)と画像化に適した線(185keV)を同時に放出するため、がん治療用核種として有望視されている。しかし、大量に高品質のCuを製造する方法が限られているため、研究開発が限定的である。そこで我々は、AVFサイクロトロンにて重陽子ビームを炭素あるいはベリリウム標的に照射することで発生する高速中性子をZnOに照射することによりCuを製造する手法の開発を行っている。本研究では、動物実験が可能な放射能量のCuを製造するための分離手法の検討を行った。まず、ターゲット物質であるZnO増量(5g33g)に対応する分離手法の開発では、33g ZnO試料を用いた場合でも、既報の基本分離法を用いることにより、CuとZnの分離は良好であり、Cu最終溶液中に、Znは検出されなかった。また、濃縮ZnOターゲットの回収方法として、キレート樹脂カラムから溶出されるZn溶液を水酸化物沈殿法により分離回収する方法を検討した結果、回収したZnOには、標識を阻害する新たな不純物の混入は認められなかった。以上の結果、既存加速器を用いて動物実験が可能な数百MBqのCuを製造する手法の開発に目途が立った。
川端 方子*; 橋本 和幸; 本石 章司*; 佐伯 秀也*; 椎名 孝行*; 太田 朗生*; 竹内 宣博*; 永井 泰樹
no journal, ,
Moを親核とするTcは、70-90万件/年の核医学診断で用いられているが、近年、海外からの輸入危機を経て、将来における国内安定供給への対策が議論されてきた。加速器中性子を利用したMo製造とTc熱分離は、連続高効率分離が可能であり、我々は、国産化が可能な新製造法として研究を進めてきた。熱分離後のTcは、装置内石英管に凝縮しており、これを洗浄及び濃縮して少量の生理食塩水に溶解した化学形(TcO)にすることが必要である。これまでは濃縮に用いるアルミナへのTc吸着を要するため、低濃度(0.1mM)のNaOH水溶液で洗浄を行ってきたが、洗浄効率が不安定で収率に影響していた。そこで、本研究では、0.1M NaOH水溶液でTcの洗浄を行い、陽イオン交換カラムでNaOHを中和した後、アルミナカラムでTcを濃縮する方法を試みた。その結果、NaOH濃度を500-1000倍にしたことで、Tcの洗浄効率が従来(50-90%)から向上し、安定的に95%以上を達成、アルミナカラムにおける濃縮回収と合わせて90%を得た。熱分離効率90%と合わせて、本熱分離システムでのTc分離収率は、80%を超えることが明らかになり、熱分離システムとしての有効性が示された。